ロレックスのデイトジャストのオーバーホールと外装研磨のご依頼です。前回のメンテナンスから6年ほど経過していて、ここ数年はお使いになっていないとのこと。(注:外装研磨サービスはその後廃止して現在は受付しておりません)
ロレックス・デイトジャスト ref.178274
分解前の測定から。振り角も230°位までで少し元気がなく、歩度も全体的に遅れてきています。定期メンテナンスの頃合いと思われます。
すべてのパーツを分解して洗浄したところ。とくに交換が必要となるパーツは見つかりませんでした。
香箱の中の油は乾ききって、ゼンマイは黒く汚れておりました。こちらも洗浄して新しい油を入れ直します。
ベースムーブメントの組み立てをしていきます。これは巻上げ機構を組んでいくところ。
巻上げ機構部分が組みあがったようす。
つづいて輪列側を組み立てていきます。歯車のホゾなどはしっかりしており、過去の整備傷などもほとんど見られず良好です。
レディース用のムーブメントで、cal.2235が搭載されています。サイズもかなり小さめなので、取り扱いには注意が必要です。
アンクルまで組み込んだところ。こんなに小さなムーブメントですが、細かい部分までとても丁寧に作られております。
ベースムーブメントの完了したところ。
ベースムーブメントの測定。特性に問題はなく、順調に進みます。
カレンダー機構の取り付け。このサイズですが、メンズサイズと同様に瞬間送り機構が付きます。小型で簡略化されるほど、わずかなミスでも不具合につながります。より繊細で高度な整備技術が求められます。
文字盤と針付けをしたところ。インデックスのダイヤモンドが目をひきます。
外装パーツも研磨を行なって、組み立てなおします。
ケースが組みあがったところ。
ケーシングまで来ました。
最終特性
左上)文字盤上 振り角 293° 歩度 +004 sec/day
右上)文字盤下 振り角 290° 歩度 +005 sec/day
左下1) 3時下 振り角 275° 歩度 +005 sec/day
左下2)12時下 振り角 262° 歩度 +003 sec/day
右下3) 3時上 振り角 266° 歩度 +001 sec/day
右下4)12時上 振り角 258° 歩度 +004 sec/day
レディース・サイズでは、機械を小型化するため性能が犠牲になることも多いですが、ロレックスに限ってはメンズのものとほとんど差がありません。すごいことです。
研磨前(左)研磨後(右)
今回の該当コース:【 オーバーホールコース 】